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自然に囲まれ、仲間に囲まれる。-スポーツの枠を超えるビーチテニスの魅力-

ビーチテニスの普及活動やビーチテニスの用具の販売を手がけている辻昌宏さん。そんな辻さんがビーチテニスはテニスともバドミントンとも近く、初めてやる人でもすぐにその楽しさがわかると語る。ビーチエリアでは盛んに行われるようになったがまだまだローカルスポーツのビーチテニス。そんなビーチテニスに懸ける辻さんの想いに迫った。

辻さんは中学生のころにテニスを始め、社会人になってからも試合に出ていたが、次第に若い人たちに勝てなくなってきた。

そこでビーチテニスと出会い、始めた。ビーチテニスにはあまり年齢は関係ない。
辻さんも始めて2年、47歳で日本ランク19位だ。50歳以上でトップ10に入る人もいるという。
さらに全日本選手権などは有明コロシアムで開催される。
テニスではたどり着けなかった国際大会の会場だ。まさに夢の舞台。テニスとは一味違う、新たな面白さ。そして夢の舞台に辿り着ける。惹きこまれた。

「若くなくても、今から始めても日本のトップ、世界ランカーになれる。しかも、テニスの国際大会の会場で試合ができる。非常に夢があるスポーツで面白いですね。」
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ビーチテニスはその名の通り砂浜で行われる、イタリア発祥のスポーツだ。

8m×8mのコートが2面あり、その間に170㎝のネットが立てられる。ラケットはテニスよりも少し重く、短く、たくさんの穴が開いている。ボールは柔らかく軽い。これをノーバウンドで打ち合う。ネットが高くノーバウンドで打ち合うため、テニスとは少し感覚が異なるという。

戦略としてもネット際に落として、チャンスボールを決める、というように全体的にバドミントンに近いスポーツだ。8mと距離が近いため、非常にスピード感があるというのが特徴。競技者はテニスからの転向者が7割を占め、そのほかバドミントンなど、ラケット競技から転向した人が多い。ラケット競技以外では、現在女子日本ランキング2位の本間江梨さんのようにバレーボールから転向した人もいる。

ヨーロッパやブラジルで盛んに行われており、アメリカ、ロシアなどでも普及し始めている。
しかしアジアではまだ日本やタイあたりでしか行われていない。これを中国や韓国にも広めてアジア圏を盛り上げたいと語る。国内では神奈川が最も盛んであり、現在西日本での普及が進んでいる。
ビーチテニスの大きな魅力は3つ挙げられる。

1つ目は「すぐにできる」ということ。羽根つきのような感覚で、30分も教わればできるようになる。またビーチスポーツ全般的に言えることだが、オープンな雰囲気があり、初めての人も気楽に参加できる。

2つ目は「観客も楽しめる」ということ。ビーチでBBQなどをやりながら、競技を行うことも多い。会場全体が盛り上がるため、プレイヤーと観客が一緒になって盛り上がる。

3つ目は「自然との一体感」。これが最大の魅力だ。風や砂の質でも戦略が変わってくる。足場が悪いからこその面白さだ。さらに地面が柔らかいのでけがも少ない。そのため飛び込むようなダイナミックなプレーも躊躇なくできる。また簡易のネットを立てればどこでもできる。実際に草の上や雪の中でも行われている。
辻さんの主な活動は2つ。「普及活動」と「用具の販売」だ。

現在日本ではビーチテニスの用具を買うことができる場所が圧倒的に少ない。選手は約2000人いるにもかかわらず、ビーチスポーツマートと辻さんの2か所しかない。そのためインターネット経由で海外から購入するしかなく、テニスのように試し打ちなどができない。ラケットは穴の開き方や材質などで性能・感覚が異なり、値段も約3万円と高価だ。これを選手は約1年で交換するにもかかわらず、口コミなどに頼るしかなかった。また海外では水着でプレーすることも多いが、日本ではウェアを着ることが多い。このウェアもペアが変わるたびに変える。

このように需要があるが、まだローカルスポーツであるため、大手スポーツメーカーなどは参入していない。そこで辻さんは販売を始めた。個人で道具を購入し、大阪、岡山、広島など各地を回って試打会を行い、特徴を説明しながら販売している。競技を始めやすく、続けやすい環境をつくる。これが辻さんの目的だ。

「最初は安いものでもやっているうちにこだわりが出てくるんですよね。自分のものを持つことはうまくなる秘訣なので。」
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辻さんは指導員の資格を持ち、普及活動を行っている。
イベントや大会の際に体験会を開催している。日本では、沖縄で国内大会と国際大会が年1回ずつ開かれる。

辻さん自身も沖縄でイベントを開くことが多い。もともと百貨店に勤めていたころ、沖縄のイベントを担当しており、沖縄を訪れる機会が多かった。そこで閑散期のビーチは暖かいのに人がいないということに気が付いた。そこでビーチテニスを流行らせられないかと考えた。このように沖縄での活動がメインとなっており、月の2/3を沖縄で、残りは地方を回って過ごすことが多いそうだ。

辻さんの活動として今後の目標は3つある。
まずビーチテニスの支部を増やしていくこと。4月1日に新たに沖縄に支部ができ、現在全国12の都府県に支部ができた。今後はさらに全国に支部を増やしていくことが目標だ。支部化することで地方自治体とのつながりも強くなるという。そうすることで各地でイベントが開催しやすくなる。
次にイベント形式の体験会を増やしていくこと。ただビーチテニスをするだけでなく、サップやヨガ、BBQなどのイベントと組み、より楽しんでもらおうというものだ。実際に岡山では、恋活イベントとコラボした企画も行われている。

そしてローカルスポーツ同士で組むということだ。ビーチでは、ビーチサッカーやビーチバレー、フレスコボールなど。ラケット競技ではパデルなど。まだメジャーではないスポーツは山ほどある。これらと組んでイベントを開催し、互いにローカルスポーツを盛り上げていく。

ビーチテニスを知ってもらい、さらに初心者でも飛び込みやすい環境を作る。トップ選手を育てるだけでなく、裾野、入り口を広げる。これが大事なことだ。
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辻さんはビーチテニスを幅広い年代の人々にやってもらいたいと話す。
小さい子供でもネットを少しひくくすればできる。
高齢の方でも激しく走れなくても楽しめる。
しかもビーチで行うため足腰のトレーニングにもなり、体にいい。いつ始めても遅いということはなく、年齢差があっても戦える。まさに生涯スポーツだ。

さらにビーチで行うため、イベントや大会で行く先々で旅行気分も楽しめる。特に沖縄などは青い海と白い砂浜が広がっており、撮影会のようになるそうだ。辻さんは今後、離島など人があまりいないようなところでイベントなどを開いてみても面白いのではと考えている。

そして何よりも豊かな人間関係が築けるという。ビーチテニスはフレンドリーなスポーツだ。選手同士みんな仲がよく、新しい人には周りから寄ってきてくれる。またコートチェンジのときと試合終了のとき、相手とタッチを行うため、相手ともいい関係になる。
これほどの魅力が詰まったスポーツをみんなに知ってもらいたい。
そしてこれをローカルスポーツで終わらせない。
ゆくゆくはオリンピック種目を目指している。人工のビーチなども増えてきて、環境も次第に整備されつつある。いかに人々に知ってもらうか、魅力を伝えるか。試行錯誤の日々だ。それでも自分が楽しんでいるからこそ続けられる。語る姿からもその楽しさが伝わってきた。

「とにかく入りやすく長くできるスポーツだからまずはやってみてほしいですね。楽しさは保証できます。体にもいいですし。ぜひ少しかじってみてください。」
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【 Profile 】
辻昌宏(つじまさひろ)
昭和44年10月7日生まれ 47歳
東京都出身、沖縄県那覇市在住

昨年2月に23年間勤めた東武百貨店を退社
本年4月よりRBTC株式会社 取締役
ビーチテニス公認指導員
ビーチテニス日本ランキング15位(4月15日現在)

現在は沖縄を中心にビーチテニスの普及と用具の販売、イベントなどを手がけている。
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ヤス ヤス