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世界唯一の男女混合スポーツ! - コーフボールの未来を担う商社マンの夢とは -

総合商社で働く傍ら、コーフボール協会理事にして選手でもある信時さん。目標は「コーフボールをオリンピック競技にすること」。その目標のために今はタイで働きながら普及活動をしている。話を聞いていると、日の丸への熱い情熱が伝わってきた。アスリートであれば日本代表は誰もが憧れるもの。視点を変えれば自分にもできることがある。そんなことを勉強させてもらった。

—— 初めまして、本日はよろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします。

—— 早速ですが、コーフボールとはどんなスポーツなのか、教えて下さい。

コールボールは、簡単にいうと「ドリブルがないバスケ」と呼んでいます。
バスケットボールがルーツで、約100年前にオランダの小学校の先生が開発しました。
「コーフ(Korf)」はオランダ語で、「バスケット(籠)」を意味しています。
小学生は体格差にばらつきがあり、また男女一緒に授業をやることが殆どなので、「男女一緒に、運動が得意な子でも苦手な子でもできるよう、アンフェアな部分をなるべく無くそう」ということで小学生にでもできるバスケがないか考案されたそうです。

ルールではドリブルを禁止しています。一人の上手い子がワンマンプレーできないような仕組みになっていて、チームで協力してやらないとゴールが奪えないんですね。
ゴールも端ではなく真ん中にあって、360度からゴールが狙えます。バスケのゴールよりもちょっと高いですが、ボール自体はバスケより小さく、ゴール幅は大きいところが違いますね。

—— それは面白いですね。運動会の玉入れのような感じですか? 

イメージとしては近いものがありますね。
玉入れやバスケとの最大の違いは「ディフェンド」というルールがあるところです。

—— ディ...ディフェンド?

ディフェンスが至近距離にいるときにオフェンスがシュートを打つと、「ディフェンド」という反則になりゴールが入ってもファールを取られ、カウントされないんです。
至近距離の判断は「ディフェンスが伸ばした手がオフェンスの胸元に届くほどの距離」というような感じで審判によっても判定が難しいところなんですが、背の低いディフェンスでも背の高いオフェンスの攻撃を至近距離にいるだけで止められるんですね。

なのでゴールはバスケと同じように「高い場所」にありますが、バスケほど”背が高い人が有利”という訳ではないんです。

—— だから男女一緒にできるんですね!それだと接触プレーもできないですもんね?

その通りです。
身体が出来上がっていない小さい子でもできるよう考案されているので、危険なプレーは限りなく排除されたルールになっています。
おそらくスポーツの中で唯一の男女混合競技なんじゃないですかね。

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—— そもそもなぜ、コーフボールを始められたのですか?

元々は高校と大学で陸上競技をやっていました。100m走の選手をやっていたのですが、その時は日本選手権に出場するとか日本代表になりたいと強く思っていて、毎日血反吐吐くくらい練習しました。

ですがやっていくうちに段々この世界では戦うのが難しいな、と感じたんですね。
それからスポーツを離れようと思ったのですが、そのタイミングでたまたまテレビでクレー射撃の特集をやっていたんですね。30歳くらいで競技を始めて、そこからオリンピック選手になりましたという選手の特集だったんです。
競技層が厚くないニッチなところを狙って日の丸を背負えるんだ、そんなやり方もあるんだ!というのに気づきました。

そんな時にTwitterでコーフボールの理事長から、熱烈なメッセージがきまして…「一度東京に遊びに来ないか?」と言われ、ちょっと面白そうだなと思って行ってみたことがきっかけだったんです。

—— そんなきっかけあるんですね。(笑) いきなりですか?

本当にたまたまでしたね。
ただ僕もクレー射撃の特集を見た時から何か挑戦できそうなマイナースポーツを探していたところだったので飛びついたというのもあると思います。

—— それほど日本代表になるというところに挑戦したかったんですね。

最初はコーフボールが楽しそうというよりは、日の丸を自分が背負うことができそうだなという感じでしたね。完全に勝負にこだわっていました。 

—— 出会ってからはどれくらいですか?

出会いは6年前の大学院生の時で、本格的に始めたのは3年前からです。

—— そうなんですね。では今は選手としてやられているんですね!

そうですね。普段は総合商社で営業をしながら、空いている時間を使って選手をやりつつ、日本コールボール協会の理事として普及活動もやっています。

コーフボールの国際連盟としての目標がオリンピック競技になることなんですが、前提として75カ国でやられていることが必要で、現在の普及カ国は71カ国なんですね。
今は仕事でタイに赴任していますが元々タイにコーフボールがなかったので、自分がここで普及活動をすれば少しは目標を達成するのに貢献できるかな、と思いやっています。
タイに来て最初は練習もろくにできなくてどうしようかなと思ったんですけど、今ではコネクションもできて少しずつ形になってきているので結果的に良かったかなと思っています。
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—— 今後の目標や、コーフボールをどんな形で発展させていきたいと考えていますか?

今でもヨーロッパでは盛んで、オランダではプロリーグがあります。男女混合で一緒にできるところ、ディフェンドという特殊なルールが面白いところ、良さだと思っているのでその良さを多くの方に伝えていきたいですね。

そのための目標として、日本コールボール協会は「2020年までに47都道府県にクラブを作ること」を掲げています。東京にオリンピックが開催されるにあたって、スポーツをしたい人のニーズは確実に増えるだろうと思っているんですね。
その中でコーフボールというスポーツが少しでも選択肢の中に入ってくれると嬉しく思います。私たちは、その中で潜在的なニーズを持っている人たちを拾えるような土台作り、組織作りを行なっていきたいと考えています。

—— コーフボールをどんな方にやって欲しい、参加して欲しいとかありますか?

20代から30代の人をメインターゲットとして広報活動をしていますが、オランダでは10代から60代の人たちが一緒にクラブに行ってコーフボールをしています。
もちろん年代別で別れたりもしますが、それだけ多くの年齢層の人たちがやれることも同時に発信していきたいです。日本では10都道府県に約15チームあるので、そのどこでも良いので一度遊びに来てくれれば体験できます。
自らが面白がってやってくれるパイオニア的な人とか、新しい遊び方をしてくれる人には是非来て欲しいですね!

—— なるほど、では全国各地にあるクラブに問い合わせて参加できるんですね!

はい。HPにクラブチームの詳細が載っているので、見て頂ければ!
面白いのは岡山県ではクラブを幾つかに分けているので、県の中でライバルチームができ、体験会や試合も定期的に開催して競技レベルを向上させたり、チーム同士の親交も深めています。
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—— 先ほどコーフボールが数あるスポーツの中で一つの選択肢になればと仰っていましたが、コーフボールにしか得られないものってありますか?

それは難しい質問ですね... 個人で言うと日の丸を背負えたところですかね(笑)。
まぁそれは私の想いによるところですが、なんか競技ごとの性格ってあるじゃないですか?サッカーっぽさとか野球っぽさとか。そのスポーツの特性や携わっている人たちの哲学とかが影響して文化とかできていると思うんですよね。
私は陸上の他に野球もやっていたのですが、野球の人たちとも陸上の人たちとも違う、コーフボールにしかない視点とかってあるんです。
例えば、コーフボールは台湾のチームが強いんですけど、一緒に練習をする機会があったんですね。そこでコーフボールをやる上で重要な要素、タイミング、スピード、ポジショニング、ディレクション(方向)を一つずつ分解して、丁寧に教えてくれるんです。

「君の今のプレーはどういう意図でしたんだ?そのプレーは何かおかしかったよね?」

というような質問をされて、それはどれだけ仲間を思った行動をしたのか、という風にも聞こえたんです。おもてなし力というか、他の競技では体験しなかった教え方が素晴らしいなと感じました。

—— 相手を思いやるって良いですね!

相手にフォーカスをするという視点で、教え方がとても丁寧なんですよね。
相手への思いやる気持ちを考えるというのが面白いし、それは色んなコミュニケーションにも応用できると考えています。前にコミュニケーションを取る事が苦手だと感じている人が参加してくれたりもして、競技だけではなく、色んな人が自らの課題を克服しにコーフボールをやっていて多様性のあるスポーツだと私は思っています。

—— ありがとうございます。最後に、何か伝えたいメッセージとかあれば。

大きい目標はオリンピック競技になることです。
それは僕が出たいということもあるんですが(笑)。
普及という点では、これからいろんな楽しみ方を提示していけたらと思っています。

今はバスケ経験者が比較的多いですが、それ以外にも日本代表でトップを目指す、コミュニティでワイワイしたい、色々な人とコミュニケーションを取りたい、様々なニーズにお応えできると思うので、どこかしらに興味が刺されば、是非一度遊びに来て欲しいと思っています。
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【 Profile 】
信時盛人 -Nobutoki Morito- 29 歳(男性)。
コーフボール歴 3 年。大阪大学院工学研究科卒業。
卒業後、某総合商社就職。日本コーフボール協会普及推進部長を務めながら、代表選手としても活動。現在は、本業の関係でタイに拠点を移す。五輪競技を目指し、タイ協会の立ち上げに携わりながら、遠隔で日本の普及にも尽力。日本のコーフボール人口はここ3年で10倍に増加、2020年までに47都道府県にクラブを立ち上げるため、さらなる飛躍を目指す。
Twitter : @no_von
Instagram : @ novon_novon
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アルコ アルコ