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石田太志、ノーミス演技で世界3位も「世界一じゃないと意味がない」

第38回ワールドフットバッグチャンピオンシップ。フットバック発祥の地・アメリカのポートランドにて7日間に渡る熱き闘いが繰り広げられました。日本人唯一のプロフットバッグプレイヤーとして出場した石田太志さん。「サークルコンテスト」「シングルルーチン」「シュレッド30」の3部門に出場し、「シングルルーチン」部門では3位に輝きました。日本に帰国した石田さんの大会を終えての率直な感想、そして今の想いを聞かせてもらいました。

フットバッグとは、お手玉のような小さなボールを足を使って操りながら、2000種類近くある多様な技を披露し、競い合うスポーツ。

毎年、開催地を変えて行われる世界選手権。今大会日本人で唯一の出場を果たし、「シングルルーチン」部門で見事3位に輝いた石田太志さん。

日本に帰国され、現地大会で感じたことや今後の展望について、話してくれました。



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ーー まず、今大会を終えての率直な感想はどうでしたか?
石田さん:自分の持っている力は出し切ったと思います。でも優勝しか狙っていなかったので、悔しい気持ちの方が強いですね。



ーー 大会前の練習や準備はどのようなことをしていたのですか?
石田さん:技術だけでいうと、出場していた選手の中で、自分は10位以下の順位に当たるくらいの力だったと思います。出場した「シングルルーチン」本番の2分間は、持っている技術だけじゃなくて、その場で持てる力を余さず発揮するメンタル力も反映されます。その中で、3位という結果を残せたことは良かったかなというか、一つ自信になりました。

僕の場合は、他のアスリートと違って、競技だけに全ての時間を注ぐことはできないんですね。世界大会に出場するための渡航費ですとか、そのためにスポンサーを募ったり、プロモーションの活動をしなくてはならない。「プレイヤーとしての自分」と「プレイヤーを支えるための自分」の両方が必要なんですね。なので、それなりに準備することは多岐に渡ります。


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ーー 大変ですね。それでは練習時間なんて中々取りづらくないですか?
石田さん:僕が特別不利になる、ということではないですね。他のフットバッグプレイヤーは学生だったり仕事していたりするプレイヤーも多いので、練習量でいうと僕が特段少ないということはないと思います。



ーー 多岐にわたる活動を行いながらも、世界大会という大舞台の中で、ちゃんと結果を残すというのは凄いですね。
石田さん:ノーミスでできた。これは自分でも満足している部分ではあります。「シングルルーチン」の場合は、技術点と芸術点を見るのですが、今大会は芸術点の割合が大きく反映されていました。最近のジャッジの傾向として「2分間で演技したこのプレイヤーの技術度はこれくらいだろう」という各ジャッジの想定で採点がなされるんですね。なのでジャッジによって採点にばらつきがあります。フィギュアスケートのように「この技を出したら何点」という採点の仕方ではない。だからこそ、「演技で与える影響や立ち振る舞い」も重要になります。



ーー盛り上がり、みたいなものも採点に反映されるんですか?
石田さん:そうなんです。観客に与える影響も大切な要素なので、「結果を残す」ためには、実力だけでなく、運も味方につけないと、中々優勝はできないなというのは率直に感じましたね。


Worlds 2017 Open Routines Finals Taishi Ishida


ーー 今回は「シングルルーチン」部門での3位獲得とのことでしたが、ちょっと部門の違いがわからなくて...
石田さん:「シングルルーチン」というのは、先ほども話しましたが、2分間の中で技術的要素と芸術的要素の両面をみて採点する競技です。私が優勝した経験もある「シュレッド30」は、30秒の中で技の数と難易度を競う競技になっています。今までは「シュレッド30」に自信を持っていましたが、今大会で「シングルルーチン」でも勝負できるというのが実感値として体感できたことで得意分野が変わったかも?と思える瞬間でした。「シングルルーチン」に関しては優勝してもおかしくない演技でしたので。「シュレッド30」は今回7位に沈んでしまいましたが、1位の選手のスコアを見ても僕がベストで出せるスコアよりも低かったので、その面をみて以前に比べて2つの種目は優勝に向けて勝負できる感覚を得ています。

3つ目の「サークルコンテスト」ですが、これは4,5人が輪になって、一人ずつ順番に演技を披露し合い、その中で誰の技が一番凄かったかを見る種目です。種目によって、与えられる時間や採点方式も全く異なるんですね。それによって得意不得意も出てきますが、今回の「シングルルーチン」の出来が良かったことは、大きな収穫でした。


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「シングルルーチン」部門で見事3位に輝く

ーー 勝てると思える分野が増えた訳ですね。
石田さん:そうですね。「シングルルーチン」は採点の付け方次第で、人によっては大きく変わります。引退した元選手が主にジャッジをしているのですが、選手時代の成績によって、見方も変わってくるんですね。先ほども言ったように、「勝てる」と思っていても、そこは実力だけではない要素も加味されるので、難しいなというか。それがまた面白い点でもあるのですが。



ーー 世界大会を終えてみて、今後の活動に何か変化はあるのでしょうか?
石田さん:ただのスポーツ選手として大会に注力していくことは難しくて、選手としての軸と、自分をプロモーションしていく軸の両軸で行くことに変わりはありません。ただ、プロモーションの観点で言うと、正直なところ、世界大会に出ても一番でないとあまり意味がないんですね。ただでさえ知られていない、という状況で自分に興味関心を示してもらうには、その競技の一戦で、しかも一番であることに意味があると思っています。



ーー 次回大会までには、どのような活動・準備をしていくつもりですか?
石田さん:まだ正式な決定ではないですが、次回大会はブルガリアで開催されます。もちろん次回も出場するために、プロモーション活動を精力的に行い、そして出場して勝つために、競技力向上も怠りません。僕だけでなく、日本各地でもフットバッグを手に入れられるような環境作りにも取り組んでいきます。次回大会は日本から、僕と一緒に出場していくプレイヤーが欲しいですね。



ーー ありがとうございます。最後に、今後への意気込みをお願いします。
石田さん:今回はアメリカでの開催だったのでアメリカの選手が多かったですが、次回はブルガリアなので、ヨーロッパの選手が多く出場すると思います。実はヨーロッパの方が選手層が厚いんですね。ただ今大会で、シングルルーチンでも戦えるという自信がついたので、強豪がいる中でも優勝を目指して頑張っていきたいと思います。


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石田太志選手のSNSはこちら

Twitter : @taishiishida
Instagram : @taishiishida

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ぽん ぽん