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ベンチャースポーツ(マイナースポーツ)のブランディング戦略 無名な競技の価値を上げるには?

さて今回は、どうやれば効率的に無名な競技の知名度・イメージを向上させることができるかを考え、以下にまとめます。

昨今のマイナースポーツは、急激な伸びから、ベンチャースポーツと呼んだほうがいいという話はこちらに記述しました。
また、各無名な競技がなぜ普及したいのかと、その際に競技自体のイメージは非常に重要である点をこちらで述べました。
さて今回は、どうやれば効率的に無名な競技の知名度・イメージを向上させることができるかを考え、以下にまとめます。

バッグの価値

今から2つの質問をします。一つ目の質問が終わったら、一つ目の質問の答えを書き留めておいてください。

まず1つ目の質問。質問Aです。まず以下をご覧ください。

こちらはルイヴィトンのバックです。
 (2376)

参考までにこの商品の価格は15万円です。



次にこちらはエルメスのバーキンです。
 (2377)

参考までに、この商品の価格は約400万円です。



ではこちらをご覧ください。
 (2375)

ここで質問Aです。この商品はいくらでしょう?

答えは後程発表しますので、書き留めておいてください。書き留めるまで先に進まないでください。

書き留めましたか?ではスクロールしてください。



































さてもうひとつの質問、質問Bです。以下をご覧ください。

こちらはユニクロのバッグです。
 (2379)

参考までに、こちらの商品の価格は約6000円です。



次にこちらのギャップのバッグ。
 (2381)

参考までにこちらの商品の価格は約5000円です。



では、こちらをご覧ください。
 (2383)

さて、ここで質問Bです。この商品はいくらでしょう?

答えを書きましたか?書いたらスクロールしてください。












アマゾンによる表示価格は、本記事を執筆時点でオレンジのバッグが2980円。黒のバッグが3580円でした。ただアマゾンページの描写と形状が同じことから、以下のバッグの色違い版という認識で間違いないでしょう。
よってオレンジとブラックのバッグは、同程度のものということです。上記の質問ではどう答えましたか?恐らく質問Aの方が高い値段だと考えたことかと思います。

しかしながら、同列に並べられているものが、世界の高級ブランドである質問Aと日本でも安価で有名なブランドと同列に並んでいるものでは、高級ブランドと並べられているときの方が高価なものに見えてきてしまいます。

人間は、同列に並べられているものと同列に感じる傾向があるのでしょう。

これはどこかで読んだ記憶があるので、恐らく心理学などの領域で名前がついているような有名な現象だと思います。名前が出てこないので、もしご存知な方がいらっしゃいましたらお教えいただければ幸いです。

スポーツ版

さて上記の効果を、無名な競技にも応用してみましょう。架空の競技「オクトーボール」という競技を考えてみましょう。(ただこの記事の公開時期のOctober、オクトーバーなだけです。特に意味はありません。)

またスポーツは、ブランドバッグのように写真で飾って並べるわけにもいきません。また動画があるとしても、広告宣伝費なしで無名競技の動画やサイトを見てもらえるとは思いません。恐らく目に引く方法は非常に限られていますが、例えば、Twitter等のSNSや記事のプロフィール欄になることかと思います。

ちょっとそれを踏まえて「オクトーボール」に取り組んでいる人のプロフィールをいくつか考えてみます。
A オクトーボールというスポーツをやっています。オクトーボール協会理事。オクトーボール日本代表。普段は派遣社員として働いています。
これに対して、こんなのはいかがでしょうか?
B ハーバード大学MBA取得、外資コンサルタントを経て、現在○○代表取締役社長・CEO。オクトーボール日本代表。
さてどちらの方が「やる価値がありそう!」「投資をしてみたい」「広告を出したい」と感じるだろうか。

少なくとも、Aは「なんかよくわからない競技をやっている派遣社員」という印象に対し、Bは、(最近のハーバードMBAの価値についてはおいておいたとしても)「なんとも目立つ経歴のある人がやっている競技がある。」という印象になるでしょう。

少なくとも私はBの方がやる価値がありそうであると感じ、投資家やスポンサーなどの広告主としても、Bの方が付けたくなるのではないだろうか?投資家や広告主なども、Bのような経歴の人が多い、または、そういう経歴の人への投資・出資経験は多いと予想されることから、経歴にも親近感を感じ、比較的安心できるのではないでしょうか?



他の例も作ってみましょう。
C 趣味はギャンブル。特にルーレットやバカラが熱い!オクトーボール日本代表。
この場合は、なんとなくギャンブルっぽい要素を持っている競技に見えてくるでしょう。
D 元サッカー日本代表。現在はオクトーボール日本代表。
多分サッカー系の競技で、かなりレベルが高い人もやっている印象を受けるのではないでしょうか?



バッグが、有名ブランドと並んでいるだけで、あたかもそのバッグ自体も高級に見えてくるのと同じように、一種ブランド力があるほかのものと並んでいるだけで、その無名な競技でさえも価値が高いものに見えてきませんか?

しかしながら現状では、数多くのベンチャースポーツ・マイナースポーツに関するクラウドファンディングが、概してAのようにベンチャースポーツや、マイナースポーツを単体で宣伝しようとしている人が大半なのではないでしょうか?

実際に見てみると「国際大会に出場するために、頻繁に長い休みが必要となるため、正社員は厳しいので、アルバイトや派遣社員を掛けもって、食いつないでいます。」というようなフレーズが、かなりの確率で見受けられます。
おそらくそのままですと、競技自体のイメージの大幅な転換は、厳しいものがあるでしょう。
端的に言うと、自戒を込めていますが、日本代表であったとしても、例え世界大会で入賞するレベルであったとしても、ただ無名な競技に取り組んでいるだけでは、ブランドとしての価値はほぼありません。それ自体の価値を上げるには、(少なくとも、価値があるように見せるためには)、他のものと組み合わせる必要があります。

雇用形態に優劣があるといいたいわけではないものの、現状での一般的な認識では、アルバイトや派遣社員というのは、正社員にはなれなかった「負け組」の職業という認識があるのは否めないでしょう。現に「派遣社員から正社員に昇格」が謳い文句として成立しています。
よって、これと無名の競技を並べるとどうなるかというと、少なくとも「オクトーボール=負け組の競技」という印象が出てくるのは間違いないでしょう。事情が分かっている人には違って見えるのかもしれませんが、世間の大半の人はそんな事情など分かりません。

ベンチャースポーツ(マイナースポーツ)はイメージがよくない、という話も聞きますが、これはむしろ選手たちが、無意識の間に自らよくないイメージを「宣伝」してきてしまっている可能性もあるのではないでしょうか?

私も無名な競技に取り組む一人として、ベンチャースポーツと名称を変えイメージの改善を試みたり、日本代表に特化するポータルサイトの運営を行ったりなど行ってはいますが、最も重要なのは取り組んでいる一人一人の意識改革が重要であると感じています。

ここで明らかなように、この方法を取るには、取り組んでいる無名な競技以外にも、客観的に見て、特筆して秀でている点が必要となります。日頃から該当競技以外の、全く異なることでも秀でていくことが、逆説的に近道なのではないでしょうか?
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たくボーイ たくボーイ